ジョージ・R・R・マーティン「タフの方舟①②」読了。
2冊で短中編7作が並ぶ連作短編集。タフっていうおっちゃんがさまざまな惑星を訪れて豪快に問題解決するというお話なのだが、それぞれの話のタッチが異なる。
プロローグはなかなか印象的でシリアスなのだが、それに続く本編「禍つ星」はちょっと違う。貴志祐介「クリムゾンの迷宮」みたいなホラータッチの殺し合いだけど、真剣味に欠ける感じ。
「守護者」は単純なアイデアストーリー。
「魔獣売ります」「わが名はモーセ」もアイデアストーリーだけど、金のためなら何でもやるってな悪徳商人っぷりが楽しげな短編。
「パンと魚」「タフ再臨」「天の果実」は爆発的な人口増加が問題の惑星を舞台とした連作。
やや冗長である印象を受けるが、最後に突きつけられるテーマは重い。自らの種の未来について、苦渋の選択を迫られる政治家というもの。
「わが名はモーセ」と「天の果実」では全然違う。どっちかというと脳天気なモーセの方が好きだけど、それぞれなかなかに楽しめる短編集だと思う。