貴志祐介の硝子のハンマー読了。ISOLAから青の炎に至るまで快調に飛ばして来た著者だが、いきなりの沈黙。そして四年半ぶりの新作が今作。
意外にもまっとうなミステリである。前半は仮説を立ててつぶしにかかる推理劇。なかなか良く出来ている。ロボットがからむところ等はアシモフの鋼鉄都市を想起させる。そのまま真相につなげれば良いと思うのだが、後半は犯人を描く倒叙物になる。東野圭吾風の読ませるお話になっているのだが、ややまとまりに欠ける気がする。
材料は十分そろっているのだが、構成がイマイチなのかもしれない。それでも面白いけど、著者の中ではISOLAと最下位を争う程度かな?本格推理よりはサスペンスの部分にこそ著者の強みがあると思う。